血便の方へ

血便の原因となる病気には、大腸疾患と肛門疾患があります。

A. 大腸疾患

  1. 大腸癌:目で見て血便となるような大腸癌はかなり進行した癌です。お腹が張る、便の回数が増える、便が出にくいなどの他の症状も出現します。そして出血の量は徐々に増えていきます。ある日突然血便となることは殆どありません。
  2. 虚血性大腸炎:血便で最も多い病気です。突然に発症し、何度も血便が続き、多くは2~3日で自然に治っていきます。便秘の後に、左下腹部痛を伴って発症することがほとんどです。発熱は多くありません。
  3. 憩室出血:腹痛も発熱も全く症状がなく、突然に大量の血便となります。動脈性の出血で1度出ると500mlにもなります。準緊急内視鏡で止血術を行うことがあります。
  4. 潰瘍性大腸炎:粘液の混ざった血便が1日に何度もあり、何日も続きます。治療が必要です。30歳代に多い病気です。

1と4を疑ったときは、大腸内視鏡検査が必要です。

B. 肛門疾患

  1. 内痔核(いぼ痔):排便時のいきみによって出血します。硬い便で長い時間いきんだ時、ゆるい便でも長い時間いきんでいると、徐々に徐々に成長して大きくなり、そのうち肛門から脱出するようになります。
     注入軟膏や座薬では小さくなることはまずありません。良い便(ブリストルスケール4)にすれば、脱出は改善されます。それでも脱出があり、治したいと思ったら手術を選択してください。
  1. 裂肛(切れ痔):硬い便で強くいきんだ時にできます。最初のうちは拭いたときに、ペーパーに薄く血が付くだけですが、慢性化するとポタポタと血が落ちて便器の水を真っ赤にします。慢性化すると、切れ痔の奥に肛門ポリープ、手前に見張りイボができてきます。切れ痔は治っても肛門ポリープと見張りイボは残り、切れ痔ができるたびに成長します。


 肛門にも肛門癌や肛門管癌、痔瘻癌のような悪性疾患ができることもあります。注意してください。