痔瘻、肛門周囲膿瘍
肛門周囲膿瘍は肛門の周りが腫れて痛み、発熱をともないます。肛門のすぐ近くが腫れることも、離れたところが腫れることもあります。また肛門の周りは全く腫れないで、肛門の奥の方が腫れて非常に痛いことがあります。治療は切開をして膿を出すことです。膿が出ると翌日には痛みは楽になります。肛門周囲膿瘍の原因の多くは痔瘻です。切開した後にしこりが残ればまず痔瘻です。痔瘻は薬では治らないので、痔瘻と診断がついたら手術を強く勧めます。
手術
肛門周囲膿瘍:局所麻酔下に切開排膿術
肛門周囲膿瘍は放っておくと、破れて膿が外に出て楽になることがありますが、運が悪いと奥に広がり複雑な痔瘻になることがあります。糖尿病の方は放っておくと、炎症が肛門から臀部さらに下腹部に一気に広がり致命的な病態となることがあります。壊死性筋膜炎(フルニエ症候群)と呼んでいます。1日以内に亡くなることがあります。
痔瘻:局所麻酔下にゴムシートン法を中心に行っています。
手術後の痛みが少なく、再発も少ない肛門機能温存術です。外来治療としておこなっています。
複雑痔瘻は他院に紹介しています。痔瘻全体の10~15%が複雑痔瘻です。
再発:
痔瘻はゆるい便(スケール6~7)が原因です。肛門腺の感染によって起きます。肛門周囲には10か所前後の肛門腺があるため、下痢便が改善されないと、他の部位にも再度発生します。